9.25司法判決「上原元国立市長に対する国立市の請求を“却下”」の深い意味

2014年10月30日 18時45分 | カテゴリー: 活動報告

 上原公子元国立市長が市長在任中に行った行為に対して、国立市が損害賠償を請求している裁判で、東京地裁は925日、請求を棄却する判決を言い渡しました。神保哲生さんと宮台真司さんの「VIDEO NEWS ドットコム」は、直後の27日、この判決言渡しを取り上げ、解説を加えていましたが、舌を巻きました。国立におきた景観問題の特殊な経過を把握し、さらに、現市長が元市長に賠償請求するという行政訴訟にまで発展した現段階において、“首長個人が賠償責任を負う基準とは”との一般的テーマを立てて総括していたからです。その上で、判決をまとめた増田稔裁判長の手腕、裁きの絶妙さをわかりやすく解説していました。http://www.videonews.com/commentary/20140927-01/

 本裁判の基本として、高層マンションの建設を阻止するために景観保全を公約に掲げていた上原市長が行った行為が、個人に賠償請求されるに値するほど「故意」や「重過失」であったか否かがあるのは確かです。が、増田稔裁判長は、その点については、「元市長が国立市長として行った行為は、違法性の高いものであったと求めることはできない」とさらりと触れた上で、市の訴えを棄却。棄却の主な理由は、私たち国立市議会が2度も「元市長に対する賠償請求権の放棄」を議決しているにもかかわらず、現市長は制度として「再議に付す」とか「異議申し立てる」ことが出来るのにそれもしないで、賠償請求し続けたことは「信義則に反する」というものでした。
 

 控訴期限前日の10月8日に開かれた「臨時会」の議事録(初稿)が出ています。それをつぶさに読むと、市長を支える議員は、市長が異議申し立てなどの制度を活用していないことについて、司法判断を粛々と待つとマスコミに語っているじゃないかと、その正当性を擁護する発言を繰り返しています。しかしながら、これらの擁護は、「首長として正式な場はどこか」をはき違えている認識としか言いようがありません。首長や自治体としては、法律や制度を使って、民主的ルールに基づいて提案し、政策実現することが常識だからです。

 また、臨時会での私たちの質疑から、市長も当局も、市側の訴訟代理人弁護士が、何回「準備書面」(上原氏の弁護団に対する反論)を提出したかも分からず、その内容も読んでいないお粗末な事実が明らかになりました。証拠の出し方にも唖然とするものがあります。いくら義務付け訴訟であるとしても、市を訴えていたデベロッパーである明和地所の社員の証言を、そのまま上原元市長の行為の違法性を証明する証拠として国立市がそのまま提出しているのは、許し難いことです。市側弁護士の働きをチェックしていない市長と当局の怠慢は看過できません。

 生活者ネット前田議員の質疑では、さらに、上原元市長に求めている2500万円(+遅延損害金)の賠償請求は、本来、国立市が支払うべきお金であって、元市長個人が払うお金でないことを明確にしました。上原元市長の行為は、民意に基づいた景観保持という政治理念によって進められたものであり、当時、福祉部長であった現佐藤市長も庁議等を通して、民主的な手続きを踏んでいた事実は当然ながら知っていたはずです。元市長が私的な利益を得たことは一切なく、生活者ネットとしても、明和地所への支払いは、住民自治のコストとして市が支払うべきものであったと主張してきました。それを今になって、市長に当選した佐藤一夫氏は、市民の税金を使って上原元市長個人を狙い撃ちにし、4人の原告とともに無謀にも裁判を続けるのは何のためでしょう。共産党が臨時時会の討論で、報復的、極めて政治的な制裁として裁判を使うのは無謀、不毛、税金の浪費ときっぱり発言していたのは真っ当と感じました。 

 佐藤市長は、翌9日、「控訴」を断行しました。このことが意味するところは、「憎らしい市民派の」元市長の制裁に留まらない事は言うまでもありません。本裁判を続けることは、佐藤市長を含めて全国の首長が公約に基づいて行政行為をおこなう際、個人としての訴訟リスクを常に念頭に置いておかなければならなくなり、その波及効果や萎縮効果がひどく懸念されます。なぜ裁判所はこれまでの争点の判断を避けて、市の請求を却下したのか。裁判所としては、地方自治・行政の在り方を大きく左右する判断は下すべきでないと考えたからではないでしょうか。

  “喉に刺さったトゲを抜きたい”と佐藤市長は心情を吐露しながら、より大切な民主主義の根幹に関わること、自分の首を自ら絞めていることに気付かないのは喜劇というか悲劇なのか。このような裁判が続くのは、市民が自治するまちを市是としてきた国立市と国立市民にとってたいへん不幸であり致命的です。

 来年20154月の改選まで、今の議会構成で12月議会、3月議会が開かれます。
 「控訴後」のいまとなっては、控訴に
NO!の輪を広げ、議会としてこれまで以上に主体的な判断と行動をとっていきます!