政府は、漫画『美味しんぼ』バッシングをしている場合ではない

2014年5月14日 18時58分 | カテゴリー: 活動報告

  雁屋哲さんの『美味しんぼ』「福島の真実」篇が話題になっています。私は、去る3月、そこに書かれてある有機農家・渡部よしのさんの会津郷土料理を食べに、オルガン堂@下北沢に行ってきました。

 オルガン堂の名前の由来は、オーガニックから来ていますが、さらに、対話と交流からハーモニーを奏でる願いから付けられた名前と聞いています。福島島県有機農業ネットワークが、放射能測定をしつつ、美味しい野菜を作っても売れない苦境の中、待っていても売れないなら、自分たちで売りに出よう!食べてもらおう!と東京進出を果たしてオープンしたお店。この1年間で、福島からの避難者の居場所となる中で、関心を寄せるさまざまな人が足を運び認知されていったようです。
私が伺ったのも、1周年をお祝いするちょうどその時で、渡部よしのさん自らの会津の定食が出されていた時でした(写真上)。

 祖父母から父母へ、父母から子へ。子から孫へ。よしのさんの郷土料理をいただきながら、郷土の食を繋ぐことは、その風土と仕事を繋ぎ、命を豊かに育て伝えていくことだと改めて感じました。県外・県内避難者が10万人以上である福島のいまを思う時、郷土食にこだわるよしのさんたち、またオルガン堂さんたちの営みが、痛いほど伝わってきました。

 さて、話しを『美味しんぼ』に戻します。
 私は、「福島の真実」を読んで、作者の雁屋さんこそ、福島原発事故後の被災者の暮らしを丸ごと汲み取っていると思いました。また、長い年月を掛けた徹底した取材から、真摯に福島に寄り添ってきたと感じています。
 一方、主人公の山岡さんが、現地で鼻血を出した描写をめぐって、政府の閣僚から、「美味しんぼ」バッシングが相次いでいるようですが、次の理由から、私は異議を唱えたいです。
 第一に、憲法で保障された「表現の自由」に対する検閲的行為として。第二に、放射線の人体への影響は無い、風評被害にすぎないとする断定的な言い方に対して。

 福島県双葉町から依頼されて、年間数十日、町内に滞在した松井英介医師は、多くの被災者から「鼻血が突然出る」「せきが止まらない」「体がだるい」などの症状を聞き取っています。また3.11後、国会でも、鼻血が出るなど被災者たちの体の異変は度々議論に上がっていました。議事録も残っています。それを、今になって事実隠しに躍起になることは、政府への国民の不信をさらに募らせることにしかなりません。

 この問題をめぐって、先日お話を聞いたNPO「とみおか子ども未来ネットワーク」の市村高志さんの発言に、私は耳を傾けたいと思います。

「ずっと不安を抱えながら生きていくことになる。白黒つけられないところに被災者の苦しみがある。」

 ヒロシマ・ナガサキの被曝者の苦しみが、福島で引き継がれてしまっています。
 政府と事故を起こした東京電力は、この苦しみにこそ応える姿勢、そして、それに応えるため、例えば「子ども・被災支援法」を理念のまま着実に実行することにこそ真剣であるべきです。事実隠蔽に費やしている時間はない、と考えます。

2014.05.15からの予定(2014.05.14現在)