双葉町長選挙は他人事でない~井戸川前町長、苦境の中で子どもを守る

2013年2月27日 23時38分 | カテゴリー: 活動報告

 明日2月28日、福島県双葉町の町長選が告示されます。有権者が全国に分散して暮らしている中、町外からの4人を含む同町長選最多の7人が立候補を予定している異例ずくめの選挙となります。候補者のポスター掲示板は、加須市の埼玉支所、郡山市福島支所のほか、県内の7つの仮設住宅の計9カ所に設置されるそうです。この選挙の有り様を通しても、福島原発事故による放射能汚染によって分断された双葉町の惨状が見えてきます。

 先日、船橋淳監督の映画『フタバから遠く離れて(Nuclear Nation )』を観ました(※現在、オーディトリウム渋谷にて上映中)。
 双葉町は、3.11以降、全住民が町から離れて避難。福島県で唯一、町役場を県外に移転させ、埼玉県加須の旧騎西高校に置いた自治体として注目されてきました。船橋監督は、避難所に通い続け、避難者たちに次第に迎い入れられるようになって撮影をはじめ、「自分たちの経験を二度と繰り返して欲しくない」との避難者の思いを受ける中で、作品を仕上げていったといいます。作品の奥行きは深く、避難された町民を通して原発事故の悲惨と日本社会を映し出しています。ここでいう日本社会とは、有史以来初の原発避難民となった町民を通してみた「再稼働問題」、「地方政治」と「民主主義」のリアルな姿。作品はベルリン国際映画祭にも出典され、内容の深さと洞察力のあるドキュメンタリーであるとの高い評価を得ています。

 原発事故後の日本社会に鋭く切り込んでいるのは、映画にも登場している双葉前町長の井戸川克隆さんです。実は、井戸川前町長は、これまで原発推進の立場だった首長です。人口約7千人弱、農業以外の産業がなく、双葉町は原発を誘致することで町の振興に役立ててきました。「事故は絶対に起こさない」と言われ、東電との安全協定を結んできた経過があります。

 しかし、福島原発事故を受けて井戸川前町長は、原発事故への備えがない中で、これ以上原発を受け入れることはできないと発言。年間被曝量20ミリシーベルトでの帰還を拒み、一般公衆限界値である1ミリシーベルトを基準とするよう主張。特に若者と子どもたちの健康被害を恐れて、文科省に働きかけてきました。自ら、騎西高校で町民と寝食をともにしながら、福島県・環境省・首相らと交渉、さらにジュネーブの国連欧州本部に出向いて、被ばくを矮小化する県・国の姿勢を質すよう発言。「どうか皆さんの大きな声で救ってください!」との切実な訴えは、世界の心ある人々に届けられました。

 3月10日投開票の双葉町長選では、高濃度放射性物質を含む廃棄物を30年間保管する中間貯蔵施設を造る問題も争点になっています。5年後には帰還できると言われながら、事故収束の目途がまったく立っていないため、国と被災地域との信頼関係は崩れています。中間貯蔵施設を、上からの指示で被災地の負担とすることについては、まだまだ議論が充分ではありません。この2年間、町民とともにあらゆる辛酸をなめてきたのが井戸川前町長です。3.11以降のまちの方向性も明確に提示している井戸川前町長の続投を、私は遠くから願っています。