つくる会系教科書、杉並で6年ぶりに不採択

2011年8月11日 18時08分 | カテゴリー: くにたちの教育・生涯学習

教育委員会をウオッチしていこう!

 昨日、注目されていた杉並区の教育委員会において、いわゆるつくる会系の歴史教科書が不採択となりました。区教委には、20席しかない傍聴席に約300人が訪れ、入りきれない人は別室に通されて採択の行方に真剣な視線を送っていたと聞いています。

 杉並区ではこの間、つくる会系教科書を支持していた山田宏市長から、田中良前都議が市長に就任するという変化があり、新たな教育委員2人が任命されてきました。この2人が、つくる会系教科書継続に反対の意見を表明。前回賛成に回った井出隆安教育長も、今回は、「社会科は一体的に学ぶのが望ましい」と述べ、合議の末、地理・歴史・公民ともに帝国書院版を採択しています。
 世界的常識に照らしてあまりに偏った記述に満ちた教科書を避けた区教委の選択は、意義が大きいと思います。この日を(私も遠くからではありますが)どんなに待っていたか! この成果を勝ち取ったのは、何といっても、6年間、粘り強く区の教育環境をウオッチし、活動を続けてきた保護者と市民の力でしょう。→詳細は、杉並ネットの小松久子のHP

 さて、国立市ですが、私も市民の方とともに、子どもたちが学ぶにふさわしい教科書が採択されるよう街頭遊説、またつくる会系の教科書を避けるよう署名活動をすすめてきました。8月2日の市教委に名を提出、社会(地理・歴史・公民)ともに東京書籍が選ばれ、ともかくも安堵しているところです。

 国立市の教科書採択のしくみは、第一に、市民の意見が、教科書の図書館等での展示を通じて市教委と「教科書図書審議会」(3つの中学校長・指導課長・指導主事)へ上げられます。今回は109件の意見、その内80件が社会科についての意見で、つくる会系の教科書を推す意見は6通でした。
 しくみの第二は、市教委が調査研究を託す「教科用図書調査研究委員会」(今回は校長3名・副校長3名、さらに小学校校長・副校長から3名)があり、その報告が「教科書図書審議会」に上げられ、審議結果が市教委に戻されます。
 ちなみに、「教科書図書審議会」久家義久委員長(1中校長)による、つくる会系教科書へのコメント(一部)をまとめると次のとおりです。

公民:適切な資料を通して、現代社会の課題を多面的に考察できるように工夫されている。……思考力・判断力・表現力、及び言語活動を高める工夫が少ない。
歴史:日本の文化財の写真資料が豊富……特徴的な記述が多く、小学校との関連が図られにくい。世界史の内容は他の教科書に比べると薄く、世界との関連性は理解しにくい。

 他の教科書と比べて、あきらかに、正確性、構成や分量の配分、表記や表現方法において劣った教科書を子どもたちに与えることは、許されません。国立市の今回の教科書採択では、審議会からの報告に沿った形で、つくる会系を選ぶ意見を述べる委員はいなかったと聞いています。
 一方、大田原市、東大阪市、藤沢市、横浜市に加えて、都内では都中高一貫校、特別支援学校、さらに予期せぬ事態として、武蔵村山市、大田区でつくる会系「育鵬社」「自由社」版教科書が採択され衝撃が走っています。国立市の「教科書図書審議会」も現在非公開ですが、教育委員会の傍聴、各委員の発言を聞いて、市民に開いていく活動を、私たちは日常的に続けていかなければならないと考えます。